中村憲昭

ニュージーランドの先住民族マオリの女性が「顔の入れ墨」を理由に、北海道恵庭市の温泉施設で入浴を断られていたことが明らかになった。菅義偉官房長官が「外国の文化に対して敬意を払い、理解をおし進めることが大事だ」と述べるなど、波紋を広げている。 社会通念は、時代によって変化します。かつて『長髪』は反社会性の象徴でした。米映画『イージーライダー』で、主人公のキャプテン・アメリカは長髪を理由に住民に撃ち殺されます。でも、いま長髪にそこまでの意味を見いだす人はいないでしょう。 それと同じで、もはや『入れ墨=暴力団』という考え方こそ偏見です。暴力団排除という目的を達成するために、全ての『入れ墨』を拒否するというのは、もはや手段として合理的とは認められないでしょう。 現実に、外国人観光客の多いニセコの温泉では、事実上、入れ墨拒否というルールを撤廃した施設が多数あります。また、『入れ墨お断り』としながらも、一見して暴力団関係者といえない場合は黙認している施設も多いようですね。